優しい君に恋をして【完】
最寄駅に着き、
優が乗るバス停の前に着くと、
離れたくない、もう少し一緒にいたいと思ってしまった。
《あすかの家は どの辺?》
バス停の列に並ぶ前に、優が聞いてきた。
《○○中学の近くだよ》
《自転車?》
私が頷くと、優は列に並ばずに、私の手を引いて歩き出した。
優?
手を引かれて行った先は、駐輪場だった。
《自転車 取ってきな
俺が引くから 一緒に帰ろう》
一緒に帰る......でも......
《優は? 優はどうやって帰るの?》
優は優しく笑った。
《俺が乗っているバスが ○○中学の前で停まるから
そこから乗れば大丈夫だよ》
そうなんだ......
もう少し一緒にいられる......やったぁ!!
私は嬉しくなって、「待ってて!!」と言って、
ダッシュで駐輪場の中に入り、自転車をガタガタと引っ張り出し、
優が待っている場所まで急いで自転車を転がした。