優しい君に恋をして【完】
駅から中学も、歩くと20分だった。
校門前に着くと、部活帰りの生徒達が、
ぞろぞろと出てきていた。
「あ!遠山先輩!」
こんにちは、こんにちはと、
5人の女子グループに校門で声をかけられた。
私が中学の頃に入っていた剣道部の、
一つ下の後輩たちだった。
「高校の制服、超かわいいですね」
「そうかなぁ。ありがとう。
一年生は、何人入部した?いっぱい入った?」
「全然!二人ですよ!二人!少なくないですか?」
「二人?少ないね......」
後輩達とのやり取りを、隣から微笑みながら見ている優に気づいた。
あ......優はこの会話が全然聴こえないんだ。
私が優を見たから、後輩たちも優を一斉に見た。
優はその視線に少し驚いていた。
「遠山先輩の彼氏ですか?」
ニヤニヤしながら聞かれて、
「うん、まぁ......」
そう答えると、
「超かっこいいー!!!」と、キャーキャー言い出した。
「身長何センチですか?高くないですか?」
身長?優何センチかな......
《身長 いくつ?》
私が手話で優に聞くと、
後輩達は、「えっ」と顔色が変わった。