優しい君に恋をして【完】
あ......そのこと書いたんだよな......
なんか、目の前でメモ書きの内容を確認されると、
ものすごく恥ずかしい。
私は頬を熱くしながら「うん」と頷き、
チラッと優の顔を覗き込んだ。
《ありがとう》
ゆっくりと、なんだか心を込めた感じに手話をしたから、
じーんとしてしまった。
先生が立ち上がって、私たちのところにきた。
《毎日一生懸命手話を練習していたよ
家でもいっぱい練習したみたいだから
とっても覚えるのが早かった
気持ちを伝えたいっていう気持ちも強かったし
気持ちをわかりたいっていう気持ちも強かったと思う
中学の頃から頑張り屋さんで
少し頑張りすぎるところがあるから
一生懸命君を支えようとしているけど
君も遠山さんを支えてあげて欲しい
よろしくね》
先生の言葉に、
優は、ものすごい速さの手話で返事をした。
先生もいつもよりもずっと速いスピードの手話だったけど、
声もつけてくれたから何を言っているのかわかった。
でも、優は声も口も動かしてくれなかったから、
あまりにも速すぎて、何を言ったのか、全くわからなかった。
いつも普段はこんなに速いスピードで手話を使っているんだ。
私といる時は、私がわかるように、口の動きもつけて、
ゆっくりと手話をしてくれていたんだ。
「先生、今優はなんて言ったの?
速すぎて、全然わかんなかった」