優しい君に恋をして【完】
学校に着き、教室に入ると、
白石くんが席に座っているのが見えた。
ちゃんとお礼を言って、報告しよう。
そう思いながら、自分の席へと歩いた。
「おはよう」
白石くんに声をかけながら椅子に座ると、
心配そうに白石くんがこっちを向いた。
「会えた?」
「うん。ちゃんと気持ち伝えた」
「それで?」
「付き合うことになった。
白石くん、ありが......」
「お礼なんて、言うなよ。
俺は、これで失恋したんだから。
まぁ......ちゃんと諦めて、違う人を好きになるよ。
はい、これ昨日のノートのコピー」
白石くんは、コピーを私の机の上に置いた。
「ありが......とう」
私の言葉に、白石くんが笑った時、
真菜が前の席に座ってきて、
「どうだった?会えた?」と、
心配そうな表情で白石くんと同じことを聞いてきた。
「ちゃんと気持ち伝えて、付き合うことになったよ」
すると、真菜はぱっと表情が明るくなった。
「よかったじゃん!!おめでとう!!」
バシバシと私の肩を叩いて、
自分のことのように喜んでくれて、
なんだか嬉しくなった。
「明日、一緒にでかけようって言われたんだけど、
真菜、どっか良い所知らない?」
「デートってことでしょ?
そうだなぁ......
私は初デートは映画だったよ」
「映画かぁ......
音がなくても楽しいかな......」
真菜は、はっとした顔をした。
「あ、ごめん。そうだったよね。
だとしたら、どこがいいかなぁ」
「洋画だったら字幕があるから、
彼も大丈夫なんじゃないの?」