優しい君に恋をして【完】
私たちのやり取りを見ていた白石くんが、そう言ってきた。
「字幕か......なるほど」
「うちの姉ちゃんたちは、映画もカラオケも普通に行ってたよ。
結構どこでも楽しんでいたみたいだから。
気にすることないよ。
一番嫌なのは、気を遣われることだって言ってたから、
普通にしてあげることが一番だよ」
普通か......
「そうだね。普通にした方がいいよね」
そっか、私少し耳のことを気にしすぎていたかも。
気を遣われることが嫌だってこともあるよね。
確かに、白石くんの言うとおりだと思った。
その時、担任が教室に入ってきたから、
真菜も白石くんも前を向いた。
やっぱり優と相談して決めよう。
正直言って、私はどこでもいいし。
一緒にいられれば、どこでもいい。
ていうか、どこかに行くよりも、
本当は、ゆっくりと向き合っていろんな話をしたい。
優のことをもっと知りたいから。
どこか静かな場所で、ゆっくりと二人で過ごしたい。
優にそう言ったら、優はどう思うかな......
優はきっと、あまりしゃべるのが好きじゃないから、
嫌かな......