優しい君に恋をして【完】
放課後、校舎を出たところで真菜と別れると、
駅へと走った。
早く、優に会いたかった。
駅のホームへと階段を下りると、
もうすでに優がホームに立っていた。
遠くから見て思った。
私の......彼氏なんだ。
私は少し走って、優の前に立った。
《待たせて ごめんね》
そう謝ると、優は笑って首を振った。
「あのね......」
私が自分の気持ちを伝えようとしたら、
タイミングよく電車が来てしまった。
優は首を傾げて、《何?》と人差し指を振って聞いてきた。
いいや、とりあえず電車を降りたらにしよう。
そう思って、私は首を振った。
そしたら、さらに首を傾げたから、
私から優の手をぎゅっと繋いだ。
そのまま一緒に電車に乗り、
また向き合って立つと、
優はしばらく私の顔を見つめていた。
ちらっちらっと優の顔を見上げるたびに、
目が合う。
そんなに見つめられると、ドキドキしちゃうんだけど。
顔を上げられなくなってしまって、
下を向いていたら、
私の手を繋いでいる優の腕が、まくった袖から見えて、
その男らしい腕に、さらにドキドキしてしまった。
少し顔を上げれば、
開いた首元から少しだけ鎖骨が見えて......
私.....さっきから何考えているんだろう。
また下を向いて、
ぎゅっと目を閉じ、ブンブンと首を振ったら、
繋いだ手を離された。