優しい君に恋をして【完】
今日、初めて会ったのに、
朝の、たった20分間だけだったのに、
こんなにも、
何度もあの人のことを思い出す。
宿題をした時も、
夕御飯を食べた時も、
お風呂に入った時も。
柔らかそうな栗色の髪
黒目がちの大きな瞳
右側だけの八重歯
キーホルダーを直してくれた、
綺麗な指
どうしてこんなに、
鮮明に覚えているんだろう......
ベッドにゴロンと寝転がって、
また、あの人を思い出した。
明日もまた、
会えますように......
少しでも、
近づけますように......
そう、祈りながら、
目を閉じた。