優しい君に恋をして【完】
また、目を閉じるのを忘れてしまった......
目の前で、バチッと目が合ってしまい、
真剣な顔だった優が、ふっと笑って私から離れた。
そして《また 明日》と、
ゆっくりと言い聞かせるように手話をして、
私の頭をぽんぽんと撫でると、
くるっと振り向いてまた歩き出した。
優は何度も振り返ってくれて、
その度に私が手を振ると、笑って頷いて......
角を曲がるところでまた振り向いてくれて、
私が大きく手を振ると、笑いながら角を曲がって、
私から優が見えなくなった。
早く、明日になってほしい......
早く……
そう思いながら家まで戻った。