優しい君に恋をして【完】
髪の毛先を緩く巻いて、
前髪を編み込んで、横でピンで留めて、
少しは、女の子らしくなったかな......
「あれ、どうしたの?そんなおしゃれして」
洗濯をしに洗面所に入ってきたお母さんに声をかけられた。
「彼氏とデートなの」
「えっ?彼氏???いつからいたの?」
お母さんは、洗剤を持って驚いていた。
「いつ?まぁ、最近だよ」
「同じ高校の子?」
「違う学校の子」
「どこの高校?K高?」
「はぁ?なんでK高なんだよ。全然違いますー」
K高とは、県内トップの高校。ちなみにお父さんの母校。
「じゃあどこの高校なの?」
「もう、どうしてそんなに高校がどこかを知りたいの?
頭のレベルを知りたいの?」
お母さんは、洗濯機の蓋をして、「そりゃそうよ」と答えた。
「じゃあ、教えてあげる。
私の彼氏はね、
ろう学校の子なの」