優しい君に恋をして【完】





「そうだったんですか......



本当にすみませんでした......」



まったく、あすかは......


こうやって二人を見ると、

まるであすかの方が男の子みたいだ。



うちの幼稚園は、男女同じ園服だから、


ゆうちゃんの方がよっぽど女の子らしい。




「あすかは、ゆうちゃんが男の子って気づいているんですか?」



先生は、あはははっと笑った。



「たぶん、女の子だと思っていると思いますよ。


あすかちゃんだけじゃないです。



他の子も、実習にくる先生も、みんな最初ゆうちゃんは女の子だと勘違いしますから。


大丈夫ですよ、そのうち気がつくと思いますし、



このぐらいの時は、男女関係なく、一緒に遊んでいますから」



「まぁ、そうですよね」





「ゆうちゃんは、ちょっとお耳が不自由で......


なかなかお友達とコミュニケーションを取るのが難しくて。


大人しい性格もあると思うんですけど、


輪に入ろうとしなくて。



ご両親もとても心配されていたんですけど、


あすかちゃんと遊んでいる姿を見て、

とても喜んでいましたよ。


学年が違うことと、

家が遠くて、小学校は別の小学校だということを、


残念がっていました。



ほら、あそこに立っている方です。


声、かけてみますか?」




「え、えぇ......」




耳が不自由な子が初めてのお友達......


正義感の強いあすからしい......



私もちゃんと、ご両親に友達になってくれたお礼を言いたいと思った。




「成海さーん」



えっ......成海......



その名前を聞いて、ドキッとした。




そして、ゆうちゃんのご両親が二人一緒に振り向いた。




その顔を見て、一瞬にして高校時代を思い出した。





初めての恋



初めての失恋






まさか、成海くんの子.......












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