優しい君に恋をして【完】
自転車のところに立っていた優に、思いっきり抱きつくと、
優はゆっくりと優しく私の頭を撫でた。
私は抱きついたまま顔を上げ、優を見つめた。
「嫌いにならないで......お願い。
嫌いにならないで......」
涙がこぼれ落ち、頬を伝った。
優は私の頬に手をあてると、
親指でその涙を拭った。
「嫌いになんて なれないよ......」
そう言って目の前で優しく笑った。
「俺の発音......お母さんに 伝わらなかったかな?」
そんな......優の言葉の発音のせいじゃないよ。
私は首を振った。
「優の発音、とっても綺麗だよ。
もっといっぱい、私に話して......」
優は笑って、小さく頷いた。
「俺......頑張るから......
お母さんに 許してもらえるように
お母さんにも
あすかにも
安心してもらえるように
俺......頑張るから......」
優......
私は大きく首を振った。
「優は、頑張らなくていいよ。
そのままの優で、いいんだよ」
優は私の頭をそっと撫でた。
「このままだと よくないだろ」