優しい君に恋をして【完】
「じゃあ、また来週ね」
「ありがとうございました」
いつものように、先生は前の枠の子を見送って、
「あすかちゃん......」と名前を呼ぶと、
優と私を交互に見て固まった。
優も椅子に座ったまま、先生を見上げて固まっていた。
「お姉......ちゃん......」
わぁ......先生のこと「お姉ちゃん」って呼んでいるんだ。
そうだよね、先生は優のお姉さんになるんだもん。
でも、なんだか不思議というか、変な感じ......
「えっと......あすかちゃん、私は......
どういう反応をしたらいいのかなぁ......」
目が泳ぎまくっている先生は、
私にこそこそっとそう言ってきた。
そうだ、内緒にしてもらっていたんだ。
「あ、あのね......」
先生に状況を説明しようとした時、
固まっていた優が、呆れたように笑い出した。
「知ってたの?俺のお姉ちゃんになる人だって」
優が隣からぐっと顔を覗き込んで聞いてきた。
「知ってた。ごめん......隠していて......」
「あすかちゃん、それは私が......」
先生がそう言いかけた時、私を覗き込んでいた優が、
目の前でかわいく笑い出し、
ゆっくりと立ち上がって、先生を見た。
「俺の彼女が お世話になってます」