優しい君に恋をして【完】
玄関を出ても、
門から出ても、
まだ腕にしがみついている私に、
優はふっと笑って、下を向いた。
そして私の顔を覗き込んだ。
「○○水族館に行こう」
水族館......
優と一緒に水族館!
「うん!」
ぎゅっと腕にしがみつくと、また私の頭を撫でて、
その手が頬に落ちてくると、
少し屈んで、伏せ目がちの優の顔が、
ゆっくりと近づいてきた。
その色っぽい表情の優に、
胸の奥がきゅーっとなりながら、ぎゅっと目を閉じると、
優の唇を待った。
でも、なかなか唇の感触がやってこなくて、
そっと目を開けると、
目の前で、大きな瞳で私を見つめている優の顔が見えた。
へっ???
パチパチと瞬きをすると、
間近で優がふっと笑って、
ぎゅっと目を閉じて、私の真似をした。
かぁーっと一気に頬が熱くなって、
恥ずかしすぎて、下を向くと、
顎をくいっと持ち上げられて、
目を閉じる間もなく、強引に唇を奪われた。
ちょと今までと違うキスに、戸惑いながら目を閉じた。
ふっと唇が離れると、また塞がれて、
何度も角度を変えて、攻めてくる優のキスに、
しがみつく腕の力が抜けてしまって......
優の腕から、自分の腕がほどけると、
優は両手で私の頬を包み込んだ。
そっと唇が解放され、息が上がりながら優を見つめると、
優はすぐに目をそらし、
ぎゅっと私を抱きしめてきた。