優しい君に恋をして【完】
引っ張られるがままに、優の隣に行って、
下から顔を覗き込むと、
顔をそらしてしまって......
短く髪を切った、可愛い優を、
ずっと見ていたくて、
こっちを向いてほしくて......
繋いだ手の反対の手で、トントンと肩を叩いて、
こっちを向かせると、
優は、ちょっと不貞腐れたように、私を見下ろしてきた。
あれ......?
「怒ってる???」
片手で手話をすると、優は頷いた。
ええええーーー!怒っちゃったの????
「どうして???」
私がまた顔を覗き込むと、
優が立ち止まって、私の頭に手を乗せた。
「俺が言おうとした言葉を あすかが言うなよ......」
真剣な顔で言ったと思ったら、
噴き出して笑って......
ポンポンと言い聞かせるように頭を撫でると、
そっと頭から手を離してまた、歩き出した。
俺が言おうとした言葉......
私が言った言葉......
【かわいい!】
あっ!!
言われてないんだけど、
なんだか嬉しくなっちゃって、
恥ずかしくなっちゃって......
すぐ隣を歩く優の顔を、
見れなくなってしまった。