優しい君に恋をして【完】
「憧れの彼に会えた?」
休み時間、
真菜がそう言いながら、私の前の席に座ってきた。
「うん。会えたんだけど、やっぱ緊張して声掛けられなかった」
真菜は、うんうんと頷いて聞いてくれた。
「そりゃそうだよ、緊張するって。
だって、好きなんでしょ?」
えっ。す、す、好き?
「好き……なのかな……?」
「好きじゃないの?」
好きか嫌いかと言ったら、好きだろうけど、
「好きな人って、そんなに急にできるものなの?」
私の言葉に真菜が、噴き出して笑った。
「好きになるのに時間なんて関係ないよ。
一目惚れだってあるし。
あすかの場合は、彼の優しさとかっこよさにキュンと、やられちゃった感じじゃない?」
キュン……?
「私も彼氏とそうだったよ。
そうだ、緊張して声掛けられないなら、手紙書いて渡してみたら?
それならできそうじゃない?」
「手紙かぁ……」
「いきなり『好きです!付き合ってください!』だと、ドン引きされるかもしれないから、
とりあえず、キーホルダーを直してくれたことのお礼って事で、書いたらいいんじゃない?
ついでに名前と、携帯と、アドレスを書いてさ。
よかったら友達になってください!みたいな、どう?」
真菜って、なんだかすごい。
「渡せるかな……」
「渡せるよ。
明日は金曜日だから、明日渡せば、土日に動きがあるかもよ。
メールの返信が来るとか」