優しい君に恋をして【完】




「憧れの彼に会えた?」




休み時間、

真菜がそう言いながら、私の前の席に座ってきた。



「うん。会えたんだけど、やっぱ緊張して声掛けられなかった」



真菜は、うんうんと頷いて聞いてくれた。


「そりゃそうだよ、緊張するって。



だって、好きなんでしょ?」




えっ。す、す、好き?




「好き……なのかな……?」




「好きじゃないの?」





好きか嫌いかと言ったら、好きだろうけど、




「好きな人って、そんなに急にできるものなの?」




私の言葉に真菜が、噴き出して笑った。






「好きになるのに時間なんて関係ないよ。



一目惚れだってあるし。




あすかの場合は、彼の優しさとかっこよさにキュンと、やられちゃった感じじゃない?」



キュン……?





「私も彼氏とそうだったよ。



そうだ、緊張して声掛けられないなら、手紙書いて渡してみたら?


それならできそうじゃない?」




「手紙かぁ……」





「いきなり『好きです!付き合ってください!』だと、ドン引きされるかもしれないから、


とりあえず、キーホルダーを直してくれたことのお礼って事で、書いたらいいんじゃない?



ついでに名前と、携帯と、アドレスを書いてさ。




よかったら友達になってください!みたいな、どう?」



真菜って、なんだかすごい。





「渡せるかな……」




「渡せるよ。



明日は金曜日だから、明日渡せば、土日に動きがあるかもよ。



メールの返信が来るとか」




< 17 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop