優しい君に恋をして【完】
「いつも彼を待っているんですか?」
いつも彼女が頼む紅茶をテーブルに置くと、
私はそう声をかけた。
「え、あぁ。はい」
すこし怪訝そうに返事をした彼女。
近くで見ても、透き通るような白い肌をして、
本当に綺麗な子だった。
「もう、お付き合いして長いんですか?」
私は、必死に笑顔を作って話しかけた。
「いえ、付き合うことになったのは、最近で......
ずっと私たちは、赤ちゃんの頃からの幼馴染だったんです」
幼馴染......
もう、一緒にいる時間も勝てないと思った。
「そうだったんですね。
とても素敵なカップルだなと思って......
すみません、いきなり聞いて」
「いえ.....」
「愛」
その時、「愛」と彼女の名前を呼んで、成海くんが、
彼女の向かい側に座ってきた。
本当にもう、私の入る隙なんて一ミリもないと思った。
季節は夏になり、
夏休みになると、二人は来なくなったから、
少しほっとしながら、働いていた。
すると突然、花火大会の日の夜、
彼女がひとりで、浴衣を着て現れた。