優しい君に恋をして【完】
あすかが優くんとデートに出かけた日。
私は愛さんと、駅ビルの中の個室風の和食のお店で、
待ち合わせをした。
突然の電話に、愛さんは少し驚いている様子だったけど、
会うことを了承してくれた。
先に着いた私は、ひとりで座敷に正座をして愛さんを待った。
ガラガラと、すりガラスのドアが開き、
愛さんが入ってきた。
そして、目の前に座ると、
私はすぐに座ったまま少しテーブルから下がり、頭を下げた。
「本当に、申し訳ありませんでした。
本当に本当に、申し訳ありませんでした」
おでこが畳にくっつくぐらい頭を下げ、
土下座をした。
「私のせいで、傷つけてしまって......
本当にすみませんでした。
ずっと謝らなくちゃ謝らなくちゃって思いながら、
ずっとそのことから、逃げていました。
怖くて、弱くて......
本当にごめんなさい。
私の娘のあすかは、今、
息子さんと一緒にいます。
あすかは、優くんを本当に大切に思っています。
親バカかもしれませんが、
あすかは私と違って、
正直で、間違ったことが嫌いな、真っ直ぐな子です。
私とは全然違います。
どうか、あの子を私の娘として見ないであげてください。
あすかを、あすかとして見てあげてください。
お願いします。
あすかが、優くんとお付き合いすることを、
許してあげてください。
どうか、
どうかお願いします」