優しい君に恋をして【完】
その日の夜、
宿題も、夕御飯もさっさと終え、
自分の机の上に、学校帰りに駅ビルで買ってきた、
便箋を広げて、それをじっと見つめた。
目の前に、あの人がいるわけでもないのに、
便箋を目の前にしているだけで、緊張している自分がいた。
この便箋だって、選ぶのに、1時間もかかった。
拾ってくれたクマのキャラクターの便箋?
それとも、もっと女子ぃーって感じのがいい?
でも、そんなの私らしくないし......
じゃあ、あの人らしいのは、どんな便箋だろう。
爽やかで、優しくて......
その時、パッと目に止まったのが、
水彩画のような、青空の便箋だった。
やわらかいタッチで描かれた、青空と、白い雲。
この爽やかさは、あの人らしい......
そして、この目の前に広げた青空の便箋に決めた。
なんて書こう......
何度も、ノートに下書きを繰り返して、
何度も頭を悩ませて、
やっと、便箋にゆっくりと書き始めた。