優しい君に恋をして【完】
愛さんは、優くんとあすかが頬を寄せ合って笑っている写真を見つめた。
「優の耳を、赤ちゃんの頃に聴こえるように手術したことを、
ずっと後悔していたんです。
結局、機械も外してしまって、中の機械も壊れてしまったので。
あの子は、音を聞きたくなかったんです。
それが最近になって突然、
また音が聴こえるようになりたいって言い出したんですよ。
もう逃げないって。
強くなりたいって。
それに、
赤ちゃんの頃手術して、しゃべれるようにしてくれて、
ありがとうって、初めて言ってくれたんです。
きっとあすかちゃんとお付き合いするようになって、
気持ちが前向きになったのかもしれませんね。
また、あすかちゃんに救われました。
夏休みは、耳の再手術をするために、
東京に行くので、なかなか会えなくなってしまうけど、
絶対に、聴こえるようになって帰ってきますので、
あすかちゃんによろしく伝えてください。
うちにも遊びにきてくださいねって」
え、再手術......?????
「再手術するんですか?それはいつですか?難しい手術なんですか?」
愛さんは一度下を向いて、また顔を上げた。
「明後日東京に行きます。
手術は、来週月曜日を予定してます。
そんなに難しい手術ではないんですけど、
やっても、聴こえない場合もあるので、
こればっかりは、やってみないとわからないんです。
でも、きっと大丈夫です。
あ、お腹空きません?何か食べましょうか!」
愛さんは、写真のファイルをしまって、
私の前にメニューを広げた。
再手術を.......
あすかのためかしら.....聴こえるようになりたくなったのは。
そこまでして、優くんは......
涙がこぼれそうになり、ぎゅっと目を閉じた。
+++あすか母side end+++