優しい君に恋をして【完】
「送っていくよ」
夕方
ベッドから立ち上がり、着替えをしていた優がそう言った。
デニムのパンツを履き、
白いTシャツから頭を出して、
優は自分の髪をくしゃくしゃっとした。
布団を抱えながら上半身を起こすと、
「まだ、もう少し一緒にいたい」と手話をした。
優はもう一度、髪をくしゃくしゃっとしてから、
ベッドに座ってきた。
「送って行くよ」
そう言って私の頭に手を伸ばし、言い聞かせるようにポンポンと撫でた。
そして「着替えな」と言って、
優は立ち上がり、部屋から出て行ってしまった。
さっきよりもだいぶ薄暗くなった部屋。
散らばった制服。
言われたとおりに着替えて、髪を結び直し、ベッドに座っていると、
パチっと電気がついて、優が部屋に入って来た。
急に明るくなって、ものすごく恥ずかしくなって、
優の顔を見ることができず、下を向いた。
優はベッド脇にある私のバッグを持つと、
下を向いた私の頭を軽く撫でて、
「行くぞ」と言って、
私の手を繋いできた。
優に手を引かれて立ち上がると、
そのまま部屋から出た。