優しい君に恋をして【完】
昨日と同じ場所、
昨日よりも短い列に並んで、
周りをぐるっと見渡した。
違うところに並んでいるのかな......
避けられたとか.....違う違う、マイナスに考えすぎ。
今日は、休みとか。
あの人がいない理由を、
自分の都合のいいように考えていた。
マイナスに考えてしまったら、
辛すぎるから。
もう、電車の来るアナウンスが流れて、
電車がホームに入ってきた。
列の間隔を詰めて、
扉が開いたら、降りる人を脇で待って、
前の人に続いて、電車に乗り込んだ。
昨日よりもずっと空いている車内。
また、扉からすぐの手摺に掴まっていた。
扉が閉まるサイレンがなった時、
「あっ.......」
あの人が、階段を駆け下りてきた。
私は、思わず扉から一歩出た。
その時、彼が電車に飛び込んできた。
すぐに、体を戻すと、
ぎりぎりその時、電車の扉が閉まった。
【駆け込み乗車は危険ですのでご注意ください】
やばっ、怒られた。
その人を見ると、
息切れしながら、
扉からすぐの手摺に掴まっていた。