優しい君に恋をして【完】
次の日、
出来上がったミサンガをリュックのポケットに入れて、
駅へと自転車を走らせた。
いつも学校に行く時に通る中央口改札前。
キョロキョロと周りを見回したけど、
優はまだいなかった。
しばらく柱のところで待っていたら、
優とお母さんがこっちに向かって歩いてくるのが見えて、
私は少し柱から離れて、優たちを待った。
「こんにちは」
目の前までくると、私はまずお母さんに頭を下げた。
「あすかちゃん、見送りに来てくれたのね......
本当にいろいろとありがとう。
優、
お母さん先に改札入って、本屋の前で待っているから」
お母さんは手話をしないで優にそう伝えると、
私に微笑みかけてから、改札の中へと入っていった。
優は肩にかけていた大きなバッグを下ろして床に置いた。
「退院したら メールするよ」
私が頷くと、優は笑顔を見せた。
そっか、病院だから携帯だめだよね.......
会えないし、連絡も取れないんだ......
寂しくなって俯いたら、
「あすか」と呼ばれて、また顔を上げた。
「笑ってよ 俺のために」