優しい君に恋をして【完】
「えぇ」と「はい」を繰り返しているお母さんをじっと見つめて、
電話が終わるのを待った。
そしてやっと「失礼します」とお母さんは電話を切り、
私はキッチンに立っているお母さんの顔を覗き込んだ。
「手術は無事に終わったって」
無事......
「優は?優は今どうしてるって?」
お母さんはホッとしたように笑った。
「麻酔から覚めたばかりで、ウトウトしていて、
今は、眠っているって」
「そっか......」
眠れているんだ......よかった。
「あとは2週間後に、外の機械から中の機械に音を流してみて、
反応があるかどうかだって。
とりあえず、入院は1週間ぐらいで、
あとは、お兄さんの家から通院になるみたいよ。
とにかく、無事に手術が終わってよかったわね。
じゃあ......食べようか」
お母さんはケーキの乗ったお皿を持って、
テーブルに運んだ。
そして、包丁で切ろうとしたから、
「待って」と止めた。
私は携帯を取り出し、ケーキに向けた。
「優に、写メ送る......」
携帯画面に映った、お母さんと一緒に作ったシフォンケーキ。
写メを取るとすぐに優にメールをした。
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おいしそうでしょ?
お母さんが優のために、
ケーキを焼こうって言ってくれて、
一緒に作ったんだよ!
今度優にも食べてほしいな......
手術、お疲れ様(^ ^)
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