優しい君に恋をして【完】
お母さんの運転で、公園近くまで行き、
規制のかかっている手前の交差点で降ろしてもらった。
「ありがとう」
「気をつけてね」
「うん」
私は車のドアを閉めると、公園へと歩き出した。
川沿いの道をずっと歩いて行くと、
だんだんと人が多くなっていって、
公園近くなると、ものすごい混雑をしていた。
「あ、あすか!」
公園の中に入り、リスの像の近くに行くと、
黒地に花柄の浴衣を来た真菜が私に手を振ってきた。
私も手を振って近づくと、彼氏に「こんばんは」と挨拶をした。
「まだ、連絡ない?」
真菜が小さな声で聞いてきたから、
私は「うん」と頷いた。
「そっか。どうしたんだろうね......」
ほんと、どうしたんだろう。
待ち合わせ場所には、男女合わせて15人集まっていた。
「遠山」
名前を呼ばれて振り向くと、
白石くんが立っていた。
私服姿を見たことがなかったから、
なんだか別の人のように感じた。
「彼氏のこと、聞いたよ。
早く、連絡つくといいな」
「うん.....」
「とりあえず今日は、俺と一緒に回るか」