優しい君に恋をして【完】
私は目をこすると、
差し出された優の大きな手に、
そっと自分の手を乗せた。
すると、優はぎゅっと握りしめて、
立ち上がった。
引っ張り上げられるように、私も立つと、
少し片手で浴衣の裾を直して、
手を繋いだまま、優の前に立った。
まじまじと目の前で見つめられて、
なんだか恥ずかしくて、下を向いた。
「あすか」
優しく呼ばれて、上目で優を見ると、
「よく、似合ってる」と言って八重歯を見せて笑った。
もう、どうしようもなく好きで、
好きで........
我慢できなくて.......
ここが公園だってことも、
花火がさっきからどんどん上がっていることも忘れて、
繋いだ手を離して、ぎゅっと優の胸に抱きついた。
優の鼓動を、強く感じて、
無事に帰ってきてくれて、
本当によかった......と思った。
頬に感じる優の鼓動が、ものすごく早くて、
「優の心臓、すごい早い.......」
胸の中でそう言うと、
「誰のせいだよ.......」って、
ぎゅっと包み込むように、抱きしめてきた。
そっか......もう、抱きしめながら言っても、
言葉が伝わるんだ.......
「好きだよ......優.......
会いたかった........」
私の気持ちを今、
声で...........
抱きしめられながらそう言うと、
優は抱きしめていた力を強くした。
「俺も........会いたかった」