優しい君に恋をして【完】
それからヨーヨー釣りや、射的をやって、
優はとても楽しそうに笑っていた。
優はいつの間にか、私の隣じゃなくて、
男子たちの中に入って、
ちゃんと会話をして、
たくさん笑って、
とても楽しんでいた。
私は、真菜が途中で彼氏と抜けてしまったから、
友達がいなくてどうしようかと思ったけど、
女子たちが声をかけてきてくれて、
名前で呼び合うようなり、
すぐに仲良くなれたから、
私も楽しく過ごすことができた。
友達が増えて、すごく嬉しかった。
「じゃあな、成海。
もう、俺ら仲間だからな。
また遊ぼうぜ!」
花火が終わり、リスの像の前で解散となった。
森下くんがそう言うと、優は笑って頷いた。
「俺も仲間に入れてよ」
白石くんも言うと、
「お前はちゃんと、遠山を諦めたのかよ!」
と、他の男子に突っ込まれて、
白石くんは、自分の髪をくしゃくしゃっとした。
「もう、今日一日で、俺に勝ち目なんかないって、よくわかったよ。
だってさ、成海ってムカつくほど、超いい奴じゃん。
完敗だよ」
「見た目も、成海くんの方が、超絶イケメンだしね」
「背も高いしね」
「おいこら、女子たち。
白石の傷を深くするんじゃない!」
「あはははっ‼‼」
みんなが一斉に笑って、
森下くんが白石くんの肩に手を乗せた。
「早く次の女に行けよ。じゃねぇと、仲間に入れてやんねぇぞ」
白石くんは、あはははっと笑った。
「諦めたつもりだったんだけど、まだどっかで気になってた。
でも、もう本当に次に行くよ」
森下くんは、白石くんをなだめるように、肩をポンポンと叩いた。
「お前は後で泣け!
じゃあ、俺らはバス停に行くけど、成海たちは?」
優は私の顔を見て、「バスで帰るか?」
と、聞いてきた。
私はもう少し一緒にいたくて、
二人きりになりたくて………
「ううん」と、首を振った。
「そっか、じゃあ、俺らは行くな。
じゃあな、成海。また連絡するから。
お前もいつでも連絡してこいよ」
優は笑って、
「わかった」と、頷いた。
みんなが、バイバイとバス停の方に歩いて行って、
二人きりになると、
優がそっと、手を繋いできた。