優しい君に恋をして【完】





お母さんと一緒にカップケーキを作り、

甘い香りに包まれながら、


優のメールを待った。





夕方、日が暮れるのが早くなったと感じながら、



リビングの窓から外を見ると、


パラパラと白いものが見えて、



窓を開けた。




「寒っ」




外の寒さに、思わず背中を丸めて、


暗くなった空を見上げると、



キラキラと白い雪が落ちてくるのが見えた。




「あら、雪が降ってきたの?」



お母さんも隣にきて、空を眺めた。





「暖かくして出かけなさいよ」




「うん」




小さな白い雪が、地面に落ちては消えていくのを見ながら、


ゆっくりと窓を閉めた。








♪♪♪  ♪♪♪   ♪♪♪



ポケットの中で携帯が鳴って、


急いで取り出してメールを開いた。





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あと、30分ぐらいで着くよ。

中央口改札前で待ってる。
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「えっ!!あと30分?」




思ったよりも早くて、


急いで部屋に行き、着替えると、



プレゼントの紙袋を持って、


またリビングに戻った。





「ほら、駅まで車で送ってあげるから」

お母さんがカップケーキの入った袋を渡してきた。



「ありがとう、お母さん、



助かるよ」




お母さんは、コートを着ながら微笑んだ。




「素敵なクリスマスイブになるといいわね。




でも優くんは、受験生なんだから、


あまり迷惑かけないように、早く帰してあげなさいよ」






「うん、わかった」




お母さんと一緒に、雪の降る外に出ると、




車に乗って駅へと向かった。











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