優しい君に恋をして【完】
西口に出ると、
さっきよりもふくらんだ雪が、
ふわふわと、ゆっくり空から降ってきて、
街を白く染めていた。
道の両脇に続く街路樹が、
イルミネーションで輝いていて、
その光で、雪もきらきらと光りながら舞い落ちていた。
「きれい.......」
口から出た言葉と共に、
白い息がふわっとあらわれて、目の前で消えた。
「その先の公園まで行ってみようか」
優が街路樹の先を指差して、
またダッフルコートのポケットに手をしまった。
「うん」
私が頷いて繋いだ手を離し、傘を差そうとしたら、
優がそっと傘を持って、
私の上に差してくれた。
ぎゅっとその腕にしがみつくと、
優はふっと笑って、
きらきらとした街路樹の間を歩き出した。
しばらく歩いた先に見えてきた公園には、
大きなクリスマスツリーが、雪の中輝いていた。
雪と
イルミネーションと
クリスマスツリーと
あまりにもきれいで、
それを優と一緒に見ることができて、
嬉しくて
幸せで......
来年も一緒に見れるかな......
これから私たち、どうなっちゃうのかな......
幸せな気持ちが一気に不安に変わって、
しがみついた優の腕をぎゅっとした。