優しい君に恋をして【完】
「絵画教室......」
「子供がさ、
『お兄ちゃん、喋り方が変』って言ってきて、
その子に、耳の機械を見せたんだ。
お兄ちゃんは、耳が聞こえないから、うまくしゃべれないんだよって
だから、ゆっくり口を見せてしゃべってくれると助かるって言ったら、
その子がさ、
みんなにもそのことを伝えてくれて、
それから、みんなゆっくり顔を見せて喋ってくれるようになったんだ。
だれも、俺の喋り方を変って言わなくなったし、
だからさ、
俺、小学校の頃に、
もし、自分からちゃんと自分の耳のことを説明していたら、
周りが違ったんじゃないかなって思ったんだ。
子供って純粋で、
だからこそ傷つけることも言ってしまうことがあるけど、
ちゃんと説明すれば.......
あの頃、ちゃんと説明していたら、
もしかしたら、わかってもらえたんじゃないかって思った。
自分で殻に閉じこもって、
自分から周りを避けていた自分が、
自分が.......
いけなかったんじゃないかって、
今頃気づいたよ」