優しい君に恋をして【完】
優は窓の外に目を向けた。
いっぱい傷つけられて、
いっぱい嫌な思いをして、
それで、聞こえる世界を、
音のある世界を、捨てたのに、
それを、自分がいけなかったって、
どうしてそんな風に思えるんだろう。
この人の心は、どんなに広くて深くて、
綺麗なんだろう.......って、
その横顔を見つめてそう思った。
それに比べて、私の心は狭すぎて、汚れきっていて.......
こんなに綺麗な心を持つ人の夢を、
壊れてしまえばいいのにって、
自分が離れたくないがために、
試験に落ちることを願っている。
離れたくないって、
そばにいてって、
自分勝手な思いを、ひとりでふくらませて、
それを優にも求めている。
私は.......
なんて私は......
その時、また優がこっちを向いて、
大好きな笑顔を見せた。
優の笑顔を見て、
大好きな笑顔を見て、
自分の汚い心が洗われるような気がした。
だって、
初めて、
優の夢が叶いますように.......って、
本当に、心の底からそう思えたから.......