優しい君に恋をして【完】
優は俯いて、「そっか......」とつぶやいた。
そして、窓の外を見て、
「行こうか」と立ち上がった。
優はハンガーから私のコートを取ってくれて、
「ありがとう」と受け取ると、私も立ち上がってコートを着た。
すると「持ってて」と、優は私にマフラーを渡してきた。
そっと受け取ると、
優もコートを着て、リュックを背負った。
そして、紙袋を持つと、片手はコートのポケットに入れて、
私の前に少し頭を下げて屈んできた。
えっと......これって、
マフラーを巻いてってことだよね.......
そう思って、くるっとマフラーを首にかけると、
優は顔を上げて、
もうひと巻きしようとしたんだけど、
顔を上げてしまって、どうしようかとオロオロしていたら、
目の前で笑い出して......
また、頭を下げて屈んでくれた。
くるくると巻いて、
顔を上げた優にドキドキしながら、
マフラーの形を整えた。
深緑色のダッフルコートに、紺色のマフラー、
黒いリュック。
よかった、紺色にして。
そう思いながら見つめると、
なんだか嬉しくなった。
自分の編んだ物を身につけてくれているのが、
すごく嬉しい......
「なんか嬉しい......」
マフラーを見つめてそう言うと、
優は噴き出して笑った。
「同じこと言ってんじゃん。
嬉しいのは、こっちのほうだよ。
ありがとな......」
私の頭を撫でると、レジの方へと歩き出した。