優しい君に恋をして【完】
「座って......」
そう言いながら、ベッド前の小さなローテーブルに、
トレイを置いて、部屋のドアを閉めた。
優はリュックをベッドの脇に置くと、マフラーを外してリュックの上に置き、
ローテーブルの前に座って、ベッドに背をもたれた。
私もその隣に座ると、
ドキドキしながら、優の言葉を待った。
でも、なかなか優が言い出さないから、
沈黙が苦しくなって、
「あ、あのね、これ、バレンタイン。
ガトーショコラでね、お母さんと一緒に作ったんだよ。
はい」
と、優にフォークを差し出した。
フォークを持つ手が、カタカタと震えていて、
こんなに結果を聞くことに、ビクビクしていることに気づいた。
優は、フォークではなく、
私の手首を掴んだ。
はっとして優を見ると、
優は真剣な眼差しで、私を見つめていた。
「あすか」
名前を呼ばれて、ドキドキしながら「うん」と頷いた。
「俺.......
合格したよ。
4月から、一人暮らしする」