優しい君に恋をして【完】






そんな.......


あの時、そんなことを.......








「でも、茨城の大学は、優にとって良い大学なんでしょ?


ずっと、中学から目指していたところなんでしょ?



○美大は、一般の大学じゃん.......


優、辛くない?苦しくない?」






優は、笑いながら頷いた。



「俺さ、あすかに出会うまでは、



茨城の大学に行きたいって思ってた。



でもそれは、ここから逃げ出したかっただけなんだよ。



自分のことを誰も知らないところに、行きたかっただけなんだ。




目指していたわけじゃないよ」




優はいつまでも泣いている私の涙を、

ずっと拭ってくれていた。







「もし、あすかと出会っていなかったら、



きっと茨城の大学を受けていたと思う。





でも、俺はあすかと出会って、



もう一度、



聞こえる人達の中で、



頑張りたいって思えるようになったんだよ。





俺.......強くなりたいんだ。





聞こえる人達の中で、



ちゃんと自立して生きていけるようになりたい。




だから4月から、



大学のそばで一人暮らしする」
















< 284 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop