優しい君に恋をして【完】
抱きしめられた優から、
タオルと同じ香りがしてきて、
胸がきゅーっとした。
電車がゆっくりになった時、
抱きしめていた優の片手が離れて、
そのまま優を見上げたら、
至近距離で目が合って。
真剣な表情で見つめてきた優に、
「ごめんね......」と、小さな声で謝ったら、
ふっと表情が緩んで、小さく首を振ってくれた。
そして、電車が止まった。
優はそれからずっと、
窓の外を見つめていた。
その綺麗な横顔
体に残る、抱きしめられた感触
もう胸の鼓動を抑えることができなくて......
きっと真っ赤になっている自分の顔を、
見られるのがはずかしくて、
下を向いてぎゅっと目を閉じた。