優しい君に恋をして【完】





抱きしめられた優から、

タオルと同じ香りがしてきて、

胸がきゅーっとした。



電車がゆっくりになった時、

抱きしめていた優の片手が離れて、


そのまま優を見上げたら、

至近距離で目が合って。


真剣な表情で見つめてきた優に、

「ごめんね......」と、小さな声で謝ったら、


ふっと表情が緩んで、小さく首を振ってくれた。


そして、電車が止まった。



優はそれからずっと、

窓の外を見つめていた。




その綺麗な横顔


体に残る、抱きしめられた感触




もう胸の鼓動を抑えることができなくて......



きっと真っ赤になっている自分の顔を、


見られるのがはずかしくて、


下を向いてぎゅっと目を閉じた。











< 40 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop