優しい君に恋をして【完】
私が降りる駅に着くと、
優は手摺から手を離した。
電車から降りて振り向くと、
優もこっちを向いて立ってくれていた。
優の前に立つと、
優は少し首を傾げて見つめてきた。
「また、メールするね」
恥ずかしかったけど、
優をまっすぐ見つめてそう言った。
すると優は頷いて、優しく笑ってくれた。
優の笑顔、好きだな......
そう思った時、電車の扉が閉まった。
ゆっくりと電車が動き出しても、
優は、私を見つめていてくれた。
私もずっと、
優を、
優を乗せた電車を、
見えなくなるまでずっと、見つめていた。
こういう気持ちを、
好きっていうのかな......
私は、優に、
恋をしているのかな.....
優の香りがするタオルをぎゅっと胸に抱きしめて、
ホームを後にした。