優しい君に恋をして【完】
誤解
駅から出ると、
ぽつ、ぽつと、弱い雨が降っていた。
駅のコンビニでビニール傘を買おうかと思ったけど、
私は、優から借りたタオルを頭からかけて、
学校へと歩いた。
きっと傘よりも濡れるんだろうけど、
私にとっては、優のタオルの方が、
雨から守られているような、そんな気がした。
いつもよりも早く学校に着き、
教室で、真菜を待った。
「おはよう」
自分の椅子に座っていたら、
隣の席の男子に声をかけられた。
確か名前は......白......
あ、白石くんだ。
「おは.....よう......」
少し、警戒しながら挨拶を返すと、
白石くんは、自分の席に座って、
机にバッグを置いた。
「遠山さん今日は早いね」
「あ......うん、ちょっと」
白石くんのバッグは、少し雨で濡れていた。
「やべ、濡れた。
あ、遠山さん、そのタオル貸して」