優しい君に恋をして【完】
気になってたって.......そんなこと言われても。
「待たれても.....困る。
私、今気になる人がいるから。
その人のことしか、考えられない」
私は、膝の上のタオルをぎゅっと握った。
「そのタオルの彼?」
私は、頷いた。
「気になるってことは、まだ好きって訳じゃないんだ」
好きって......どういう気持ちなのか、
まだよくわかんなくて、
白石くんの言葉にどう返していいのか、
わからなかった。
好きじゃないんだと言われたら、
それも違うし。
こういう気持ちが好きなんだってこと?
私は、優が好きなんだろうか.......
「私、男子を好きになったことがないから、
よくわかんないんだ。
この気持ちが、好きなのか、
ただ、気になっているだけなのか。
その違いがわからない.......
ただ、気になっているこの気持ちを、
今は、大切にしたいって思ってる」
白石くんは、ふっと笑った。
「遠山さんは、正直な人なんだね。
そっか。
じゃあ.....まだチャンスは俺にもあるってことだよね」
「えっ、全然ないけど」
白石くんは、私の言葉に爆笑した。
「ほんと、正直だなぁ。
結構俺も傷ついてんだけど」
あ......
「ごめん......でも、ほんと私、
彼のことしか、考えられない」
白石くんは、優しく微笑んだ。
「それって、好きってことなんじゃないの?
遠山さんは、彼のことが好きなんだよ。
悔しいけど」