優しい君に恋をして【完】
白石くんは、それから何も話しかけてこなかった。
最寄駅に着き、
優が降りたから、
私もその後を追うように、
電車から降りた。
階段を上っている時も、
改札に向かっている時も、
優は、振り返ることなく、
まっすぐ前を向いて歩いていた。
優に手紙を渡したのに、
優と仲良くなりたいってメールしたのに、
他の男と一緒にいるなんて、
そんな軽い女に思われたくない......
違うの。優。違うんだよ......
優の後をずっと追いかけていたら、
優は、他のホームに下りることなく、
改札に向かった。
この駅が最寄駅なんだ......
優は、私と同じ市に住んでいるんだ。
先に改札を通った優を追いかけ、
私も改札を通ると、
私と同じ方向の出口へと優は歩いていた。
このままでいいの......あすか。
よくないよ、このままなんて。
誤解を解かなくちゃ。
違うんだって.......
「優......
優!!!!!!」