優しい君に恋をして【完】
家に帰り、
自分の部屋に入ると、
バッグからタオルを取り出した。
そのままベッドに腰掛けると、タオルを握り締め、
今朝のことを思い出した。
頭からふわっとタオルをかけてくれて、
ぽんぽんと優しく撫でてくれて......
転びそうになった私を、
片手で抱きとめてくれて......
間近で目が合った時の、優の真剣な表情。
ごめんねと言った後の、
小さな右側だけの八重歯を見せて笑う、かわいい笑顔。
このままじゃ、やだ......
また、涙が出てきてしまって、
優のタオルで顔を覆うと、
片手で抱きしめられた時の優の香りがした。
私は、携帯を取り出して、優にメールをすることにした。
とにかく、誤解を解かなくちゃ。
なんて、送ろう。
あの人は、友達です?
なんか......違う。
そもそも、優は私が他の男と一緒にいても、
なんとも思っていないかもしれない。
ただ、私が誤解を解きたいだけで、
優にとっては、どうでもいいことかもしれない......