優しい君に恋をして【完】
手を繋いだまま、
優が先に電車に乗り込むと、
私の手を引いて、
扉の横の角に私を立たせた。
そして、一緒に同じ手摺を掴むと、
優は、私から手を離した。
ふっと優の手のぬくもりが消えてしまって、
さみしくなった。
電車が動き出し、
目の前に立った優は、
また窓の外を向いてしまった。
手を繋いでいたいな......
目線を下に向けると、
電車の揺れに合わせて、少し揺れている優の手が見えて、
そっと、その指を触ると、
窓の外を見ていた優が
バッと驚いたように、こっちを向いた。
「あ、ごめん......」
指から手を離して、
頬を熱くしながら優を見上げると、
優は目をそらして下を向いた。
そして、私の手に指を伸ばして、
向き合ったまま、ぎゅっと手を繋いでくれた。
優を見上げると、
また優は、窓の外を見ていて、
その横顔が、
綺麗な肌が、
ほんのり赤くなっているのは、
気のせいだろうか......
でもきっと、優以上に、
私の顔は真っ赤だ。
だって、さっきから頬がおかしいぐらい熱い。
でも、それ以上に、
繋がれた手が、熱かった。