優しい君に恋をして【完】
やっと待ちに待った放課後になり、
駅へと急いだ。
まだ、待ち合わせの時間まで余裕があったけど、
なんとなく、早く行きたくて駅まで走ってしまった。
駅につき、帰りのホームに着くと、
まだ、優はいなかった。
「まだ、早いし......」
しばらく、ホームのベンチに座って優を待った。
すると、電車が来るアナウンスが流れた。
この電車に乗ってくるかな.....
座ったまま電車がくるのを待っていたら、
ホームに電車が入ってきた。
パラパラと人が降りきて、その中に背の高い優が降りてくるのが見えた。
そうだ.......驚かせよう。
私は、ホームにある自販機の後ろに隠れた。
私と同じ制服の子たちがゾロゾロと電車に乗り込むと、
電車の扉が閉まった。
そして、電車は動き出し、ホームには優と数人しかいなくなり、
静かなホームになった。
優は少し、周りを見渡して階段の方を向いて立ち止まった。
よし、今だ。
うしろからそっと近づいて......
「わっ!!!!!!」
優の背中に向かって大きな声で驚かせた。
あれ......
優は、何事もなかったかのように、
そのまま振り向くことなく、
階段の方を向いて立ったままだった。