優しい君に恋をして【完】
●愛しい人
傷ついた心
私は、もう一度目を擦って、
優の顔を見つめた。
そして、笑った。
思いっきり笑って、笑顔を優に見せた。
すると、切なそうな顔をしていた優の表情が、
ふっと緩んで、かわいい大好きな笑顔を見せてくれた。
好き......大好きだよ、優。
どんなことがあっても、
この気持ちは絶対に変わらない。
私は、繋いだ手をぎゅっとした。
その時、電車がホームに入ってきて、
二人、手を繋いだまま電車に乗り込んだ。
また扉の横の角に私を立たせると、
一緒に同じ手摺を掴んで。
でももう、繋いだ手を優は離さなかった。
窓の外を見ている優の横顔をずっと見ていた。
一緒にいられるだけで、幸せだと思った。
優と一緒にいられるのなら、
それだけでいい。
じっと見つめていたら、優がこっちを向いて目が合った。
私が笑うと、優も優しく笑ってくれた。
ほら、もうこんなちょっとのことだけで、
嬉しくなる。
もう、優が好きだと気づいたら、
好きがいっぱいで......
この想いを、
どうやったら全部伝えることができるだろうって、
優の黒目がちの綺麗な瞳を見つめながら、
そんなことを考えていた。