優しい君に恋をして【完】
そうだったんだ......
あんなに優しく笑う人が、
あんなに優しい心の人が、
そんな、つらい経験をしていたなんて......
どうして、あんなに優しい人を、
傷つけたりする人がいるんだろう。
聴こえないから?
発音が悪いから?
機械をつけているから?
そんなことでバカにする人がいるなんて......
優を傷つけた奴を許せないと思った。
もし、私がその場にいたら、
絶対に、ぶっ飛ばしてやるのに。
「あすかちゃん。
優くんは、同世代の聞こえる子たちを、
避けているような気がしていたの。
だから、あすかちゃんが優くんを見つけてくれて、
好きになってくれて、
本当にびっくりした。
よく見つけてくれたなって思った。
あすかちゃんなら、優くんの傷ついたままの心を、
温めてあげられると思う。
ずっと10歳からあすかちゃんを見てきて、
自分にいつも正直で、正義感が強くて、
まっすぐな子だってことが私にはわかるから。
あすかちゃんが優くんのそばにいてくれたら、
何かが変わる気がする。
大丈夫。
きっと、優くんはもう、
あすかちゃんのそういう良いところを、
もう感じていると思うよ。
優くんは、相手の気持ちをすぐに感じ取る子だから。
昔から......」