優しい君に恋をして【完】
先生......
「先生、
優に、私が耳のこと気づいたって言わないでね。
優は私に知られたくないのかもしれないし。
いつか、優から話してくれる時を待つよ」
「そっか.....優くんから直接聞いたわけではないんだね。
わかった。
私とあすかちゃんが、繋がっていることは、
優くんには言わないでおくね。
つながっていることを知っただけで、
何かを感じてしまうかもしれないから」
「そうだね。
私も言わない。
ありがとう......先生」
それから、ピアノのレッスンを始めた。
弾いていて思った。
この音も、優には聴こえないんだ。
そう思ったら、
ずっと弾いてきたピアノが、
なんだか、
無意味なものに思えた。