優しい君に恋をして【完】
家に帰り、そのまま部屋に行って、
ベッドにバタンと倒れ込んだ。
優が自分から耳のことを、
私に伝えてくれるまで待つって言ったけど、
じゃあ.....それまで、
私はこのまま、気づいてないふりをしていて、
いいのだろうか。
このままじゃ、私の気持ちを一方的に伝えているだけで、
優は、頷くか首を振るかしかできない。
本当にそれでいいのだろうか。
そんなの、やっぱ良くないよ。
優の気持ちも聞きたいし、
私は優の耳のことを知っても、
気持ちは変わらないって......
逆に、耳のことを知って私は、
優が好きって気持ちに気づいたんだって......
伝えたい。
そうだ。伝えよう......
優から話してくれるのを待つけど、
その前に、自分の気持ちを伝えよう。
そういえば、中学の時、星野先生が手話ができるって、
少し見せてくれた時があった。
明日、中学に行って先生に相談してみよう。
自分から動き出さなくちゃ、
何も変わらない。
私はベッドから起き上がった。