優しい君に恋をして【完】
また、頬が熱くなってきた。
「あすか。その顔はいるね……」
真菜はニヤッと笑った。
「いや、好きな人っていうかなんていうか……
実は朝ね……」
思い切って、朝の出来事を真菜に話した。
「たまたま偶然で、もう会えないかもしれないけど。
すごく素敵な人だったんだ」
真菜は少し考えていた。
「どんな制服?」
「制服……えっとね……
濃いめのグレーのズボンで、
紺色のカーディガンを着ていて、
ネクタイの色は……確か……
あ、このスカートみたいな深緑色だった」
真菜は自分のスカートを見た。
「うーん。わかんないなぁ……
とりあえず、朝、同じ時間に同じ車両に乗れば、
会える確率は高いんじゃない?」
「あ……そっか……」
「次会えたら、声かけてみたら?
名前とか、どこの高校かとか、
なんでもいいから。
その人と仲良くなれるといいね」
あの人と仲良く……
「うん……」
真菜の言うとおり、
明日も、ギリギリ間に合う、
今日と同じ時間の
同じ車両に乗ってみようと思った。
でも会えたら声をかけるって……
私にできるかな……