優しい君に恋をして【完】





学校が終わり、

校舎の前で駐輪場に向かう真菜と別れ、


駅へと歩いた。



もしかしたら、帰りの電車でも、


あの人に会えるかもしれない......


少し期待をしながら、

帰りの電車に乗り込んだ。



車内をぐるっと見渡しても、


あの人らしき人は見当たらなかった。



同じような、制服の人も、


一人もいなかった。




やっぱ、会えないか......



朝と同じように、扉からすぐの手摺に掴まり、


反対側の空っぽの手摺を見た。




朝は、こんなに近くにいたんだ.....




取れてしまったキーホルダーを直してくれて......




バッグについているクマのキーホルダーが、


すごく特別なものに見えた。








最寄駅に降りると、



駅から少し歩いて、



小さなビルのエレベーターに乗り、

2階のボタンを押した。











2階で降りると、受付の人に挨拶をして、


しばらく廊下で待った。




すると目の前の分厚いドアが開いて、

小さな女の子と、桜木先生が出てきた。




「さよなら。気をつけて帰ってね。





お待たせ、あすかちゃん。どうぞ」













< 8 / 319 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop