優しい君に恋をして【完】
白石くん......
「彼の家とか、学校の場所は知ってんの?」
私は首を振った。
「ちょっと待ってな」
白石くんは、机の中からノートと筆箱を出して、
何かを書き始めた。
そして、そのページを切り取ると、
私に差し出した。
「このまま、会わないのはよくない。
ここが、彼の学校だよ」
差し出された紙には、
******************
【○○立聴覚特別支援学校】
△△駅
△行きバス
○○立聴覚特別支援学校前下車
******************
と、学校と駅と、バスの名前が書いてあり、
駅から乗るバス停の位置まで書いてあった。
「駅からバスで5分ぐらいで着くよ。
会わないというなら、
こっちから会いにいけばいい。
ただ、あの学校はうちの学校よりも早く下校するから、
早めに行かないとつかまらないかもよ」
私はその紙をそっと受け取った。
「どうして?どうしてここまでしてくれるの?」
白石くんは、あははっと笑った。
「遠山さんだって、好きな彼には、
どんなことだってしてあげたいって思うだろ?
それと同じだよ。
それに、彼の学校は俺の姉ちゃんの旦那さんの母校だから、
詳しく知ってるんだ」