優しい君に恋をして【完】
「えっ、お姉さんの旦那さん......」
白石くんは頷いた。
「高校時代から付き合っていて、
俺、姉ちゃんに連れられて、
旦那さんの高校の文化祭に何回か行ったことがあったんだ。
だから、彼の制服を見て、
もしかしてって思ったんだ。
大丈夫だよ。
聞こえる聞こえないなんて関係ない。
姉ちゃんは今、すごく幸せだよ」
白石くんは、優しく笑った。
「白石くん私......いろいろひどいこと言ったかも。
ごめん」
白石くんはあははっと笑って首を振った。
「俺の方こそごめん。
人を好きなると、周りが見えなくなるな......
ほんと余計なことした、ごめん。
昼休み終わったら適当なこと言って早退しなよ。
午後の授業のノートは明日見せてやるよ」
白石くんは短い髪をくしゃくしゃっとかいた。
「白石くんって優しいんだね」
「俺?優しいよ?
俺にしておけばいいのにって、あはははっ。
うそだよ。
頑張れよ」
「うん......ありがとう」
私は、白石くんからもらった紙を折りたたんで、
制服のポケットにしまった。