優しい君に恋をして【完】
お昼休みが終わって、
具合が悪いと言って早退した。
本当の理由を知っているのは、
白石くんと、真菜だけ。
駅に着き、
朝降りるホームから電車に乗った。
この駅の先に行ったことがなかったから、
見たことのない景色を、
扉すぐの手摺に掴まりながら眺めた。
優は毎朝、この景色を見ながら学校へ行っているんだ.....
優の学校があるのは、
私の学校のある駅からさらに2つ先だった。
優の駅が近づくごとに、心臓の鼓動が早くなった。
会えるかな......
優の駅に降りると、
白石くんからもらった紙を、
ジャケットのポケットから取り出した。
そこに書いてあるバス停に行くと、
誰も並んでいなくて、
時刻表と時計を照らし合わせると、
バスが来るのは10分後だった。
私の学校のある駅よりも小さな駅。
いつもここで優は降りているんだと、
バスを待ちながら、周りの景色をぐるっと見渡した。
突然行って、優はどう思うかな......
もう、会うのはやめようと言われたのに、
突然学校まで会いに行ったら、
どう思うかな.....
会いたい一心でここまで来たけど、
少し、不安になってきた。
その時、バスが来て、
私の目の前でゆっくりと止まった。